2013年7月14日日曜日

しんどかった、でも観てよかった『プレシャス』

最近観た中で、一番心が締め付けられるし、目を覆いたくなる、きつい映画でした。

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<あらすじ>
1987年のアメリカ、ニューヨークのハーレム。アフリカ系アメリカ人の16歳の少女クレアリース・プレシャス・ジョーンズ(ガボレイ・シディベ)は、“愛しい、貴い”という意味のミドルネームとは似ても似つかない、過酷な現実を生きていた。彼女は今、自分の父親の子供を妊娠している。彼女は12歳のときにも妊娠し、出産していた。しかし子供を引き取ることはできなかった。父親は行方をくらまし、母親メアリー(モニーク)はプレシャスを、精神的にも肉体的にも虐待している。太っていて文字も読めないプレシャスは、きれいになってもてはやされる自分を夢想していた。ある日、プレシャスの妊娠が学校に知られてしまい、彼女はフリースクールに送られる。プレシャスは代替学校“イーチ・ワン・ティーチ・ワン”に通い始めるが、当初は反発する。しかし、自分と同じように悲惨な境遇にある仲間たちや、女性教師レイン(ポーラ・パットン)と出会い、人を愛するということを見出していく。レイン先生は辛抱強くプレシャスを理解しようとし、彼女に作文を教える。少しずつ読み書きができるようになったプレシャスは人生に生きる意味を見つけ、次第に強く、美しく生まれ変わっていく。しかし過酷な運命が、プレシャスを待ち構えていた。


もう、これだけで悲しくなってくるでしょ。
中学生で妊娠・・・しかも近親相姦ってひどすぎる・・・
目を覆いたくなる虐待のシーンもあって、あーしんどい、きついの連続です。

つらいシーンの中で、プレシャスが頭のなかで想像する、

理想のキラキラした未来が何度か出てきます。
それらのシーンを見ていると、つらいシーンが中和されるけど、
彼女の現実とはかけ離れすぎててしんどくなって、涙が出ました。

ママのひどさが本当にショックでした。

英語大してわかんなくても、罵る言葉、汚い言葉がガンガン出てきます。
ママがでてくるだけで、何か起こりそう、やめてって思ってしまします。

「あんたなんて生まれてこなきゃよかったんだよ。」

プレシャスに面と向かってこんなこと平気で言う。
私がこんなこと言われたら、もうショックすぎて死んじゃう。
モノはじゃんじゃん投げるし。テレビ、植木鉢まで投げてた。

プレシャスはフリースクールに行くようになって、出会った先生は彼女の希望の光です。
最初プレシャスは反発しているところもあるけど、先生は彼女と真剣に向かい合ってくれます。
そういう大人がいてくれるようになって、プレシャスはは少しずつ変わっていきます。
お母さんは「勉強なんて意味ない」って言うけど、本当はプレシャスは数学の才能もあるし、読み書きだってできるようになりたいんです。

子どものころにどんな大人に出会えるかって、すごく大事と改めて感じました。
子どものことを思ってくれる大人、尊敬できる大人、愛を持って接してくれる大人に出会えたら幸せですよね。
本当はそういう人が、子どもみんなの周りにいてくれることが当然であってほしいんだけど。

プレシャスは愛が何かわからなかった。
でも、先生に出会って、子どもが生まれてこの子と生きるって決めて、それが愛ってことに気付くんですね。
だからこそ、ここはさすがに書けないけど、どんなにつらい現実があっても、
希望を持って自分で歩いて行くことに決めるんだと思います。

プレシャスは愛を見つけて、強くなったんだなと思います。
愛してもらえること、愛することで強くなっていくんだなあ。

ここで、ママについてもう一つ。
ママは、プレシャスはパパから性的虐待を受けた被害者なのに、
プレシャスのことを自分の夫をとった女だと憎んでいます。
ママはパパを止めないし、ママも虐待をする。

それは昔から始まっていて、パパが赤ちゃんのころのプレシャスにいたずらしても許したし、
プレシャスが吸うはずのおっぱいを夫が吸ったら、夫のためにおっぱいを減らしたくないと彼女には与えなくなるなど、もういろいろとおかしい。

もちろんパパの愛なんて歪んだ愛でしかない。愛なんかじゃなくてただの欲望。

でも、ママにはそれが羨ましかった。妬ましかった。
ママも愛がほしかったんだ。
ママもDVとか受けてたかもしれないし、被害者なのかもと思いました。

愛されていないことがどんどん重なっていって、こういう悲劇が生まれてしまったんだなと思いました。

いろいろ調べてたら1980年代のアメリカは、貧富の格差が拡大していった時代で、
経済的、社会的に低い地位の黒人コミュニティに与えた影響は大きかったそうです。

その中でも、さらに被害をこうむってしまうのが、女性、そして子どもなんですね。
今でもそうだし、どうにか変わっていってほしいです。



マライア・キャリー、レニー・クラヴィッツが脇役してたり、
アカデミー賞もいろいろ受賞してたりとすごいです。

本当につらいところもあるけど、たくさん考えさせられるし、
頑張るプレシャスからは勇気がもらえます。

ぜひ、観てみてほしいです。

おやすみなさい。





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